化石からDNAを取り出し、クローンを復元することはできるか? | 恐竜化石に関するコラム【三葉虫,アンモナイト,サメの歯】

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化石からDNAを取り出し、クローンを復元することはできるか?

執筆・監修
藤田 大 ジュラ株式会社 代表取締役 / 理学修士(広島大学大学院修了)
創業18年(2008年設立) 累計取扱1万超 3200件超の購入者評価 メディア実績・書籍監修多数

広島大学大学院理学研究科 修士課程修了(地球惑星システム学専攻)。専門は地学・鉱物学。累計1万点を超える化石・隕石の鑑定・販売に携わり、NHK BSプレミアム「南極の秘密」CG制作や、書籍『みんなが知りたい!化石のすべて』の監修、成城学園博物館のパネルデザイン等を担当。実物標本の知見に基づき、科学的根拠のある情報発信を行っています。

化石からDNAを取り出すことは可能か?

はい、保存状態がきわめて良好であればDNAを取り出せる場合があり、実例も存在します。

生物が死に絶えたあと、軟体(肉体)部分はバクテリア等で短時間で分解されます。骨も例外ではなく、ほとんどの部位が分解され、長い期間を経て、他の鉱物に置換され、もともとの有機成分は失われていきます。

しかし、特殊な環境(寒冷地での凍結や乾燥、アスファルトに埋没した骨など)では分子の一部が例外的に残ることがあり、そこからDNAが抽出されることがあります。

例えば、ネアンデルタール人やデニソワ人の骨からDNAが取り出され、現代人との関係が解明されています。この研究によって、ネアンデルタール人は現世のヨーロッパ人に近い存在だったことや、現代人が約10万年前に中東でネアンデルタール人と出会っていた可能性などが報告されています。

このように、化石からDNAを取り出すことは可能ですし、様々な研究結果がすでに報告されています。

このように、保存状態がよければ古代のDNAを取り出すことは可能であり、様々な研究結果がすでに報告されています。ただし、数百万年以上前の生物から利用可能なDNAが残っている可能性はほとんどありません。恐竜のように約6600万年以上前に絶滅した生物からDNAを得ることは、科学的に不可能と考えられています。

化石から抽出したDNAからクローンを復元できる?

では、その化石から抽出したDNAを使って、生物のクローンを復元できるのでしょうか?

クローンを復元するのは、非常に高いハードルが立ちはだかっています。少なくとも、DNAを取り出したからといって、ただちにその生物が復元できるわけではありません。

ハードル1.その生物のDNAだけ取り出さなければいけない

化石の周辺には、その生物のものだけではなくバクテリアや人為的に混入したDNAが含まれています。仮にその生物のDNA断片を取り出せたとしても、それが確かにその生物のものだと断定するのは容易ではありません。ネアンデルタール人であれば現生人類との比較で検証できますが、恐竜のように現生の完全な参照ゲノムが存在しない場合、確証を得るのははるかに困難です。

ハードル2.取り出したさまざまな遺伝子を、正しくつなぎ合わせなければいけない。

ハードル1を乗り越えてDNA断片を得られたとしても、それを正しくつなぎ合わせなければなりません。散り散りに破れた地図をすべて修復するような作業であり、正確に復元できる保証はありません。特に恐竜のように古い生物ほどDNAの劣化は激しく、完全な再構築は現実的には不可能です。

類人猿とは比較にならないほど古いため、骨の中に含まれる細胞を見つけることが難しくなる。

古い生物ほど化石の保存状態は悪化します。ネアンデルタール人は数十万年前ですが、恐竜は最も新しいものでも6500万年前に絶滅しています。単純計算でも650倍以上古いため、DNAが残っている可能性は事実上ゼロといえます。

では、骨から取り出せないのであれば、映画ジュラシックパーク(1993)のように、琥珀のなかの蚊からDNAを取り出せないか?

では、骨から取り出せないのであれば、ジュラシックパークのように琥珀の中の蚊からDNAを取り出せないでしょうか。

マイケル・クライトン原作『ジュラシックパーク』のアイデアは斬新でしたが、現実には恐竜時代の琥珀に保存状態の良い吸血昆虫が入っている例はほとんどありません。さらに、古い琥珀からDNAを検出したとする報告もありますが、後に多くは現代DNAの混入(コンタミネーション)と判明しています。科学的合意としては、恐竜の血液からDNAを得ることは不可能とされています。

ハードル4.DNAを見つけて、設計図を再現しても、孵化させる卵がない

仮に、何らかの方法で完全なゲノムを再現できたとしても、もう一つ大きな問題があります。恐竜の幼生を誕生させるには卵や母体が必要ですが、現世にはそれが存在しません。近縁の鳥類や爬虫類を利用する試みは理論上考えられますが、実際にはきわめて困難です。

これらのハードルをすべて考慮すると、恐竜のクローンを復元することは現実には不可能です。ただし、マンモスのように比較的近い時代の絶滅動物であれば、現生種(ゾウなど)を利用した部分的な復元研究が進められています。

未来の水族館の想像図

古代生物が完全に復活する可能性はありませんが、研究の進展によってマンモスなど比較的近い絶滅種が再び姿を現す日が来るかもしれません。もしも実現すれば、遠い未来にはモササウルスやエラスモサウルスが泳ぐ水族館を夢見る人もいるでしょう。

未来の水族館の想像図。CG制作:藤田 大(ジュラ株式会社)

未来の水族館の想像図。CG制作:藤田 大(ジュラ株式会社)

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