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- 肉食恐竜の歯の違い。タケノコ型とナイフ型。
肉食恐竜の歯の違いについて
恐竜コレクターの皆様なら、既にお気づきかと思いますが、肉食恐竜の歯化石には、大きく分けて2種類のタイプがあります。
一つは、真っ直ぐ伸びたタケノコタイプ、もう一つは、鋭くカーブした平たいナイフタイプです。
具体例をご覧いただきましょう。
こちらの写真はタケノコタイプの典型例です。
写真はスピノサウルス。同様のタイプの歯をもつものは、スコミムス等が挙げられます。
一方で、ナイフタイプの典型例がこちら。
カルカロドントサウルスの歯化石です。
鋭いセレーション(歯の稜線についているギザギザ部分)を持ち、比較的平たく、ちょうどナイフの刃先のような形をしています。
同じ肉食恐竜で、なぜこのような違いがあるのでしょうか? 鍵は「食性」にあります。
タケノコ型の歯をもつ代表格、スピノサウルスは魚食性だった
タケノコ型歯の代表格であるスピノサウルスは、主に魚食性だったという説があります。海辺に棲み(浅瀬に下半身を泥濘ませていた、という説あり)、魚をエサにしていました。
活発に動き回る魚を逃がさないようにするには、噛むと同時に「ホールド」することができる、タケノコ型の歯のほうが都合が良かった、というわけです。また、スピノサウルスは画像のように、ワニのように長い顎に無数の歯を備えていました。いかにも噛みつくための進化した形態ではありませんか。
ナイフ型の歯をもつ代表格、カルカロドントサウルスは噛みついて出血死させた
一方で、カルカロドントサウルスをはじめ、ナイフ型歯をもつ恐竜は、その鋭い切れ味を以って、噛みつくと同時に、肉を切り裂き、獲物を大量出血へと導き、時間の経過とともに、出血死させた、という説があります。
もちろん、実際に恐竜の補食現場を見た人間は存在しませんので、推測に過ぎません。
タケノコ型歯が、魚食性に適しているのであれば、なぜ、サメの歯化石は、タケノコ型ではないのか、という疑問や反論も生まれそうです。
しかし、いずれにせよ、歯の形状が食性を何らかの形で反映していることは間違いないでしょう。
タケノコ型とナイフ型の中間型の歯をもつ恐竜がいる。それは・・・
皆さん、ご存じ、ティラノサウルス・レックスです。
ティラノサウルス・レックスは、その体格から最強の恐竜として知られています。
最強の名を冠するのは、体格だけではありません。事実、全長だけならば、スピノサウルス、カルカロドントサウルス、ギガノトサウルスなどと同等か、やや小さいくらいでしょう。
では、なぜティラノサウルス・レックスが最強と称されるのか?
それは、歯の形状と大きさに鍵があります。
下記をご覧下さい。
こちらは、ティラノサウルス・レックスの俗称「ポイントツース」と呼ばれる歯の化石です。 弊社で実際に販売した標本です。
ポイントツースとは、いわゆる犬歯(けんし)の位置にある、最も巨大な歯です。(歯の位置によって、大きさや太さが変わります)
歯茎から外に出ている部分だけでも、ロングカーブ計測で14cm、根元の断面はほぼ円の形をしています。 それでいて、歯の稜線には鋭いセレーション(ギザギザの部分)を備えていることがお分かりいただけることでしょう。
これは、まさしく、タケノコ型とナイフ型の両方の特徴を備えていると言えます。獲物に噛みつき、、ホールドし、なおかつ出血死へ導きます。「最強の所以は歯にあり」と言えるでしょう。
恐竜は鳥へと進化したと言います。歯も恐竜と似ているのでしょうか。
現世の鳥は恐竜から進化したとされています。では鳥類の歯もさぞ恐ろしい形をしていると思いきや、実は現世の鳥は、歯を持っていません。その代わり、硬いくちばしを持っています。このくちばしで獲物をつつき、殺し、食い付き、丸呑みにします。捕食対象が比較的小さい場合は、歯を必要としないのかも知れません。また、鳥は、硬いくちばしで肉を食いちぎり、丸呑みにするため、咀嚼用の歯を必要としません。
実際に恐竜の歯化石を購入することはできますか。
弊社では、前述の恐竜の歯を実際に販売しています。よろしければ、以下のリンクをクリックしてご覧下さい。
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