子供のころ夢中で読んだ恐竜図鑑の中で、ひときわ個性を放っていたパキケファロサウルス。決して格好良くはないけれど、現生動物には見られない特徴的な外見に、仲間同士で頭突きをし合って群れの中での順位を決めていたのだ、という解説文に幼い心を躍らせ、「将来は科学者になって、本物のパキケファロサウルスに会うんだ!」と決心したものでした。あれから何年もの時が過ぎ、私は科学者どころか平凡なサラリーマンになりました。パキケファロサウルスが仲間うちで頭突きをし合っていたという学説にも疑問符が打たれるようになりました。私が子供のころに描いた夢は、次々に形を変えてしまったのです。しかし、本物のパキケファロサウルスに会いたいという夢だけは、御社のお陰で叶いました。あのころ無限に広がっていた夢や興奮が、この小さな化石に詰まっています。子供のころの私には、宝物-恐竜の人形や道端で拾った団栗など-を枕元に置いて寝る癖がありました。化石が届いた日、私は何十年か振りに、パキケファロサウルスを枕元に置いて眠りにつきました。