“カンブリア”について考えた日

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 カテゴリ:化石ニュース 作者:

カンブリア紀と先カンブリア時代と聞いてパっと「ああ、あの時代ね」と合点がいくでしょうか?

どちらもカンブリアという言葉が使われていて紛らわしくないのか!?

以前からこういう思いを持っておりました。

 

本日はカンブリアという時代とその言葉の由来について、少し考えてみました。

 

 

 

理科の授業などで、耳にする「カンブリア爆発」という言葉。

え?授業ではあまり耳にしなかったですか!?

 

 

カンブリア爆発とはずばり、「あらゆる種の生命が一気に誕生した」現象を示しているのですが、

このことは、ご存知の方も多くいらっしゃるかもしれません。

地球が誕生して40億年以上経過した頃のことです。

ええと、現在からさかのぼること約5億4000万年前のカンブリア紀のこと。。。

 

 

 

それまで3種類ほどしかなかった動物のグループから、

一気に38種類グループが増え、生物が多様化したのです。

(分類法はいろいろあるようですが、ここではイギリスの有名な学者の分類法にのっとってお話しますね。)

 

最も有名なのはあの三葉虫。

海の中で節足動物と藻類が繁栄、発達を遂げました。

 

 

レア種三葉虫、リカス目ロポピゲ(Lobopyge)

 

 

 

38種類もの生命の仲間が増えた期間はわずか数百万年だとか。

数百万年と聞くと、とっても長いように聞こえますが、地球の歴史46億年のうちの数百万年ですから、

時間の枠が大分違うんですね。

 

 

う~ん、そう言われてもわかりにくい。

分かりやすいように、地球46億年の歴史を、1日の長さに換算してみましょう。

 

 

たとえば、午前0時ピッタリに地球が産まれたとします。

そこから21時間以上も経過した午後9時11分までは

3つのグループだけが地球上に存在したようです。

 

 

ニュヨーカー三葉虫!アークティヌルス・ボルトニ(Arctinurusboltoni)

 

 

 

ところが午後9時11分~14分の間に38グループもの多彩な動物グループが一気に増えたのです。

要は、1440分ある長い一日の時間枠の中、たった3分間の短い間で

現在見られる動物のグループ全てが出揃った計算になります。

 

だから、数百万年という期間は長く聞こえますが、実は信じがたいほどの速さで

生命の種類は増えていったということになります。

 

 

未だ研究者を悩まし続ける、摩訶不思議で奇跡のような現象が「カンブリア爆発」といわれるものです。

カンブリア爆発は、われわれ地球の生命体の進化を語るときに、はずすことのできない大事件です。

あの有名な進化論を提唱したダーウィンでさえ、カンブリア紀の爆発的な種の増え方に

関しては説明がつかないと述べているほどです。

 

 

3Dフィニッシュ!ホラルドプス(Hollardops)

 

 

 

さて、それにしてもなぜ「カンブリア」という名前が付けられたのでしょう…?

そして、カンブリア紀と先カンブリア時代の区別について、ちょっと分かりにくいなと

感じられている方もいるかもしれないので、そのあたりのお話を…。

 

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まずは地質時代のことを。

地質時代には大きくわけて、先カンブリア時代、古生代、中生代、新生代という区分けがあります。

生命の大爆発が起こったとされるカンブリア紀は、

約5億4200万年前から約2億5000万年前までの間の「古生代」といわれる時代の、

一番はじめの時期にあたる一区分の時代のことをさしています。

 

 

極上三葉虫ドロトプス・アルマータス(Droropsarmatus)

 

 

 

カンブリア紀は約5億4200万年前~5億500万年前くらいまでです。

古生代はその後、オルドビス紀、シルル紀、デボン紀、石炭紀、シルル紀と分類され、

時代は恐竜が栄えた時代、中生代へと移っていきますね。

 

 

「先カンブリア時代」というのも「カンブリア」という言葉が入っています。

先カンブリア時代は、古生代の最初の時代である「カンブリア紀」よりも

一つ前「=先」の時代だという意味でつけられた時代区分です。

カンブリア爆発まずありきで、「それより前の時代です!」といった感じでひとくくりにされた時代とも言えます。

う~ん!何とも大胆な感じで私は好きですね~。

 

 

「カンブリア」という言葉が使われているためか、先カンブリア時代とカンブリア紀は

何だか混同しそうになりますが、これらの「カンブリア」という名前はどこから来たかご存知でしょうか?

 

 

ブラヒム・タヒリラボ作!ハルペス(Harpes perradiatus)

 

 

 

それは、ラテン語の部族の名前に由来しています。

この時代の地層が調べられたイギリスのウェールズ地方に、

かつて「キムル」という名前の部族が住んでいました。

 

キムルをラテン語に訳すと「カンブリア」になるそうで、

彼ら部族の名前にちなみ、カンブリア紀と名付けられたのです。

どうやら命名には地層がみつかったところの部族名を引用するパターンが多いようです。

 

 

カンブリア紀の次の時代、オルドビス紀もかつて住んでいたオルドバイス族にちなんでいますし、

その次の時代シルル紀もシルル族から名前をとっています。

 

 

ロシアのキング三葉虫ホプロリカス(Hoplolcihas)

 

 

 

地質時代の名前の由来って、なかなか面白いですね~。

カンブリア紀から派生して、話が止まらなくなってしまいそう…。

ということで、本日はこのあたりで!