隕石で掘った仏像の話

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 カテゴリ:化石ニュース 作者:

先月26日のことです。

皆さま、ニュースでご覧になった方もいらっしゃるかもしれません。

 

チベットから持って帰った仏像が

「隕石」からできている、との発表がありました。

1938年ナチス・ドイツの探検隊が見つけたものです。

 

地球外物質、隕石(meteorite)

 

 

この仏像隕石は、

科学誌「Meteoritics and Planetary Science(隕石学と惑星科学)」で

「Buddha from space(宇宙から来たブッダ)」と題されています。

 

 

「ブッダ」と「宇宙」。

とても意味深いテーマのような気がします。。。

 

 

歴史的価値の高いプレミア隕石Belle Plaine

 

 

「アイアンマン(鉄の男)」と呼ばれるこの仏像。

およそ1万5000年前にモンゴルとシベリアの境界線付近に

落下した隕石から彫られたもので、高さは24㎝、重さ10.6kgあるそうです。

 

 

この仏像は、11世紀のチベット文化の特徴があり、

毘沙門天の座像とみられています。

 

 

2009年に特別に切り出されたロバート・ハーグコレクション隕石

 

 

それにしても、なぜ毘沙門天なのか・・・。

毘沙門天は、別名「多聞天(たもんてん)」といわれますね。

 

 

少し調べてみました。

 

 

梵名(サンスクリット語での名前)はヴァイシュラヴァナです。

「ヴァイシュラヴァナ」という音を、そのまま漢字になおす(音写する)と

「毘沙門(びしゃもん)」となります。

 

 

この意味は、「ずべてのことを一切聞きもらすことのない知恵者」

であるらしいのです。

 

 

1960年10月オーストラリアに落下した隕石 ユークライト

 

 

なんてすごい意味をもつのでしょうか。。。

しかも、毘沙門天は仏教における天部の仏神だそうです。

 

 

隕石がみつかって、仏像にする際に、毘沙門天が選ばれたのが

すこし分かるような気がしました。

 

 

さて、この発見された隕石ですが、化学分析の結果、

鉄とニッケルを多く含む「アタキサイト」という

極めて珍しい隕石であることが判明しました。

 

 

アタキサイトは鉄隕石の一種です。

ニッケル含有量が13%以上で明確な内部構造をもたない隕石といわれています。

60tもある世界最大のナミビアのボバ隕石もアタキサイトですね。

 

1836年に発見された、ナミビア産の希少な1キロオーバー隕石

 

 

この仏像隕石が彫られた年代は不確かだそうですが、

作風から推定するに11世紀以前のものだと考えられているようです。

 

 

現在のように、隕石に関する科学的な分析がなされていなかった時代です。

地球外物質である隕石を、「まさに神様からの贈り物である」と考え、

仏像に仕上げてしまったのは、想像に難くないことかもしれません。

 

われわれ人類と隕石の歴史がまた一つ増えたようで、

頼もしいニュースでした。

 

 

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