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三葉虫は一体何を食べていたのか?スカベンジャーだったのか?
三葉虫が何を食べていたのか、という問いは、化石コレクターにとっても非常に興味深いものです。これまで、三葉虫の食事については間接的な証拠に基づいた推測が行われてきましたが、はっきりと示された研究はありませんでした。しかし、2023年に発表されたNature誌の論文が、この疑問に答える手がかりを提供しています。
この論文は、三葉虫の生態についての新たな情報をもたらすものです。以下、要点をまとめます:
- 三葉虫は、地球の歴史の中で非常に重要な存在であり、2億7000万年にわたる歴史の中で20000以上の異なる種が記載されています。
- これまでの研究では、三葉虫の食事についての直接的な証拠は得られておらず、あくまで間接的な推定に依存していました。
- しかし、今回の研究では、シンクロトロンマイクロトモグラフィという高度な技術を使用して、古代のオルドビス紀に生息していた三葉虫、ボヘモリカス・インコーラ(Bohemolichas incola)の腸内の内容を詳細に観察しました。
- この三葉虫は非常によく保存されており、立体的な構造が保たれていました。
- 腸内からは、甲殻類や貝殻の痕跡が見つかり、三葉虫が硬い外骨格を持つ生物を食べていた可能性を示唆しています。
- ただし、この三葉虫がどのくらい積極的に捕食していたのかについては現時点では不明です。したがって、この論文は三葉虫がスカベンジャーである可能性を示唆していますが、断定はしていません。
- この三葉虫は、死んだ動物や貝殻に残った細かい肉片などを食べて、清掃を行っていた可能性が高いと指摘されています。
今回、使われたシンクロトロンマイクロトモグラフィとは?
シンクロトロンマイクロトモグラフィとは、試料を破壊せずにその内部を非常に詳細に観察できる技術で、通常のX線CTスキャンよりも優れた空間分析能力を持っています。この技術は、さまざまな科学的分野で利用され、化石や鉱物の研究、歴史的な文化遺産の保存状態の調査などに役立っています。
スカベンジャーとは?
スカベンジャーとは、生態系内で死んだ動物や腐敗した有機物を食べて生活をしている生物のことを指します。彼らは、他の動物が食べ残すことのあるものまで、残骸や遺骸を有効に利用します。スカベンジャーは、生態系において非常に重要な役割を果たし、死んだ生物の分解とリサイクルを促進すると言われています。
今回の論文では、三葉虫が、古代のスカベンジャーであった可能性が示唆されました。つまり、三葉虫は海底に沈んだ動物や貝殻、他の生物の死骸から細かい肉片を摂食して清掃していた可能性があるのです。ただし、この説はまだ推測の域を出ておらず、今後の研究によっては違う結論が出るかもしれません。また三葉虫は種類は極めて多いため、種類によっては食べるものが違った可能性もあります。