この写真は、ミャンマー北部・フカワン渓谷で採取された、極めて古い琥珀「バーマイト」の内部を、高倍率のルーペ越しに撮影したものです。繊細な体をもつこの虫は、カゲロウの仲間でしょうか。ただ、翅脈に注目するとカゲロウのそれとは多少異なるようです。左側の羽が欠けていますが、このように一部が欠けたり曲がったりしているのは、琥珀に封じ込められた昆虫によく見られる特徴です。琥珀の内部では、樹脂のゆっくりとした変化や虫そのものの影響により、体が徐々に崩れることがあります。正常な姿勢で保存されているほうが、むしろ珍しいのです。
琥珀は、もともと樹液が悠久の時を経て樹脂化したもので、化石の一種です。バーマイトはその中でも、形成年代が極めて古く、約1億年前、白亜紀中期(アプチアン末からセノマニアン初期)に起源を持つとされています。内部には多様な動植物が含まれており、特に昆虫の豊富さにおいては、他産地の琥珀を圧倒しています。2023年時点で、1000属以上の動植物が確認されているとされ、当時の生態系を知る上で重要な資料と言えるでしょう。
大きな虫の左横(写真左下)には、別の小さな虫が見られます。尾が二つに分かれており、カゲロウの可能性があります。カゲロウは水辺に生息する生き物で、特に幼虫はそのほとんどを水中で過ごします。淡水の川や池など、きれいな水に棲んでいるのが特徴です。
バーマイトが形成された場所は、熱帯雨林に近い環境だったと考えられています。また、周辺には河川や海洋があり、それらが混じり合う汽水域も存在していたと推測されています。こうした水生生物と見られる昆虫が見つかるのも、決して不思議ではありません。
翅脈が明瞭に保存されています。これほど良好な状態で残された翅は、滅多に見られるものではありません。
こちらは、小さなカゲロウのような昆虫です。高倍率(30倍以上)のルーペで観察しなければ、見逃していたかもしれません。
琥珀の内部を観察するには、高倍率ルーペが欠かせません。詳しくはコラム「化石を観察するときの、ルーペの選び方」を御覧ください。
後方から補助光をあてて撮影しました。大きな昆虫が、シルエットとなって浮かび上がってきます。
補助光なしでも、虫の姿を観察することができます。
幅は約17ミリあります。
100円玉との比較です。水生昆虫を内包した、約1億年前の極めて古い琥珀、バーマイトです。
価格:
商品ID:ot4181
時代:中生代白亜紀(1億3500万 -- 6600万年前)
産地:Myanmar
サイズ:1.7cm×1cm×厚0.3cm
商品説明:特筆すべき翅脈の保存状態!水生昆虫を内包した、約1億年前(恐竜時代)の極めて古い琥珀、バーマイト(Burmite)
この商品は売却済みです。
このウィンドウを閉じる