こちらは、ミャンマー北部のフカワン渓谷で採取された、バーマイトと呼ばれる琥珀です。バーマイトは、約1億年前に形成されたもので、多種多様な内包物を含んでいることで知られています。
これは高倍率のルーペを用いて撮影したもので、虫のようにも見える興味深い内包物が確認できます。
バーマイトは、他の産地の琥珀と比べて内包物の量や種類が多いことで知られていますが、こちらの個体は特に豊富です。
こちらには、何やら藻のような物体が見られますね。藻のような微細な軟組織が化石になるはずがないと思うかもしれません。常識的にはそのとおりですが、ことバーマイトに関しては、そうとも言い切れません。
琥珀はもともと木の樹液が化石になったものですが、その形成過程でさまざまな物体を取り込みます。いったん取り込まれた物体は外部環境から遮断されるため、酸化や風化の影響を受けにくくなり、高い保存状態を維持できます。そのため、藻のような柔らかい組織でも、琥珀の内部であれば化石として保存されることがあり得るのです。
また、バーマイトのもととなった地域は熱帯雨林帯で、近くには河川やラグーン、湾などがあったと示唆されています。であれば、こうした海洋性の可能性がある植物片が含まれていても不思議ではありません。
補助光を用いて撮影しました。ご覧のとおり、片側に多種多様な内包物が所狭しと蓄積されています。
こちらは、補助光を使わずに撮影した一枚です。
バーマイトの歴史を掘り下げてみましょう。バーマイトの存在は、中国の後漢時代(1世紀)の歴史書『後漢書』に記載されています。当時すでに、ビルマ(ミャンマーの旧国名)と中国の間では、琥珀の交易が行われていたことが分かっています。
またヨーロッパにおいても、1613年に中国を訪れたイエズス会の宣教師によって、バーマイトと思われる琥珀に関する報告がなされています。
このように、バーマイトは非常に古くから、この地域の重要な交易品であったことが分かります。
こちらには、虫とも植物片とも断定できない、非常に興味深い物体が内包されています。ぜひ、高倍率のルーペを用いて観察してみてください。ルーペの選び方については、コラム「化石を観察するときの、ルーペの選び方」を御覧ください。
全体の長さは、左右で約14ミリです。
100円玉との比較です。約1億年前に形成されたとされる、「恐竜時代」の琥珀です。バーマイトは、豊富な内包物を含んでおり、観察していてとても楽しい標本でもあります。また、さまざまな色合いや光の強弱が現れやすい特徴があり、被写体としても非常に魅力的です。接写が好きなカメラマンの方にも、ぜひおすすめしたい標本です。
価格:¥3,800
商品ID:ot4180
時代:中生代白亜紀(1億3500万 -- 6600万年前)
産地:Myanmar
サイズ:1.4cm×1.2cm×厚0.7cm
商品説明:標本の片側に内包物が集中!多種多様な内包物が見られる、約1億年前の琥珀、バーマイト(Burmite)
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