インパクトのある一枚から始まったこの標本は、ミャンマー産の古い琥珀「バーマイト」です。世界で最も産出量の多いバルト海産の琥珀には、海岸に打ち上げられることがあるため、「シーアンバー」という愛称があります。
一方、ミャンマー産の琥珀には「バーマイトアンバー」、あるいは単に「バーマイト」という呼び名があります。これは、ミャンマーの旧国名「ビルマ」にちなんで「ビルマイト」と名付けられたものが、英語読みで「バーマイト」となったことに由来します。
バーマイトには、他の産地の琥珀には見られない、いくつもの特徴があります。そのひとつが、内包物の多様性です。ご覧のように、昆虫やクモ、ヤスデといった節足動物をはじめ、さまざまな植物片など、実に多種多様なインクルージョン(内包物)が確認できます。
それでは、標本全体をご覧いただきましょう。冒頭でご紹介したカットが、標本のどのあたりを撮影したものか、お分かりになりますか?
ちょうど中央のやや右側に、虫やヤスデのシルエットが見えますね。あのカットは、その部分を反対側から撮影したものです。バーマイトには透明度の高い、クリアな個体が多く見られます。そのため、内包物を観察しやすいというのも、大きな特徴のひとつです。
高倍率のルーペを使えば、このように個々の虫の姿を明瞭にとらえることができます。バーマイトのもう一つの大きな特徴は、その「古さ」です。琥珀はもともと樹液が化石化したものですが、バーマイトの元となった樹液は、約1億年前のものと考えられています。
バーマイトが採集されるのは、ミャンマー中央地溝帯にあるフカワン盆地です。この盆地には白亜紀の地層が含まれており、琥珀を含む地層からは、約9,800万年前のジルコン(年代測定に使われる鉱物)が発見されています。つまり、バーマイトもその時代に形成された可能性が高いとされているのです。
ロンドン自然史博物館に所蔵されているバーマイトの研究でも、内包物の一部が白亜紀に由来することが確認されており、「バーマイトは白亜紀に起源を持つ」とする説を裏付けています。
こちらは一見すると昆虫のように見えますが、足が4対あることから、昆虫ではなく、節足動物の可能性が高いです。
こちらには、真っ黒な植物片のような物体が見えます。バーマイトには、しばしばこのような非常に濃いマットブラックの内包物が見られます。この地域の森林では、かつて自然発生的な森林火災が頻繁に起きていたとも言われており、これらの内包物は、そうした火災の痕跡かもしれません。
指の隙間からバックライトをあてて撮影。透明度の高さを感じられる一枚です。
琥珀は扁平で、両面から内部をのぞくことができます。
ぜひ、高倍率のルーペを用いて、このヤスデを見つけてみてください。ルーペの選び方は、コラム「化石を観察するときの、ルーペの選び方」を御覧ください。
昆虫や節足動物が同時に見られる個体は希少です。
左右2センチほどあります。
100円玉との比較です。昆虫や節足動物、植物片などが見られる希少なバーマイトです。
価格:
商品ID:ot4153
時代:中生代白亜紀(1億3500万 -- 6600万年前)
産地:Myanmar
サイズ:2cm×1.3cm×厚0.2cm
商品説明:恐竜時代の琥珀!昆虫、クモ類、ヤスデなどの節足動物、植物片などが同時に見られる希少なバーマイト(Burmite)
この商品は売却済みです。
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