

こちらは、愛媛県西条市にある「市之川鉱山」で採取された輝安鉱(きあんこう)です。市之川鉱山は、かつて世界最大級かつ最も美しい輝安鉱を産出したことでその名を知られ、日本の鉱物学を語る上で欠かせない聖地。白銀色に鈍く輝く金属光沢と、母岩の白色とのコントラストが美しく、まさに日本を代表する鉱物産地から採集された標本です。

輝安鉱特有の柱状結晶がはっきりと確認できます。輝安鉱は英語で「スティブナイト(Stibnite)」と呼ばれますが、その語源は古代ギリシャ語の「stibi」やラテン語でアンチモンを指す「stibium」に由来します。その名の通り、半金属元素であるアンチモンの最も重要な原料鉱石です。表面に見える縦方向の条線(成長線)は、この鉱物が自然界でゆっくりと、しかし力強く結晶化した証です。

一部に黄褐色の色づきが見られます。これは輝安鉱が地表近くで酸化し、黄安華(スティビコナイト/アンチモンオーカー)などの二次鉱物へと変化し始めたもの。単なる変色ではなく、長い年月をかけて地表の酸素と反応したという「鉱物のダイナミックな変化の歴史」を示す興味深い特徴です。

結晶が母岩の中に複雑に入り混じる様子は、まるで幾何学アートのようです。輝安鉱(アンチモン硫化物)は、古代からアイメイク(コハル/カジャル等)の原料の一つとして扱われた歴史があり、ヨーロッパでも鉱物学・冶金・錬金術的関心の対象として文献に登場します。鉱物標本としての美しさに、「人類の化学史」の背景まで重なる……そんなロマンを感じさせる一点です。

市之川鉱山の輝安鉱は、1878年のパリ万国博覧会や1893年のシカゴ万国博覧会などにも出品され、その巨大で端正な結晶は世界中のコレクターを虜にしました。現在、同鉱山は閉山しており、新たな採掘は望めません。そのため、こうした良質な標本は貴重なコレクティブアイテムとして、コレクターに人気を博しています。

横幅が約46ミリです。一定方向に鋭く伸び光沢を帯びた輝安鉱は、その結晶の鋭さから「刀(かたな)」に例えられることもあります。

100円硬貨との比較。日本の地質学的な豊かさを象徴するこの輝安鉱は、まさに「大人の知的なインテリア」として相応しい気品を纏っています。かつて世界を魅了した市之川鉱山の記憶を、あなたのお手元でじっくりと紐解いてみませんか。

価格:
商品ID:ot4462
時代:Unknown
産地:愛媛 日本
サイズ:4.6cm×4cm×厚2.6cm
商品説明:かつて1878年のパリ万国博覧会にも出品され、コレクターを魅了した、愛媛県産 市之川鉱山(閉山)産の希少な輝安鉱(Stibnite)
この商品は売却済みです。
このウィンドウを閉じる