

結晶を限界まで接写したこの一枚は、桜石の真髄を捉えています。京都・亀岡市から産出する「桜石(さくらいし)」は、その名の通り、岩肌に可憐な花が咲いたような姿を持つ不思議な石です。古くから「一度見れば忘れられない石」として愛好家に親しまれてきたその佇まいは、歳月を経てもなお、瑞々しい生命力を感じさせます。

裏面は、冒頭の白い結晶こそ控えめですが、広範囲にわたって桜型の結晶痕が見て取れます。

産地の亀岡市稗田野(ひえだの)地区は、名湯「湯の花温泉」や歴史ある稗田野神社が鎮座する静謐な地です。神社境内の桜石は国の天然記念物に指定されており、現在、新たな採掘はされていません。本品は、それ以前に当時の愛好家によって大切に採集・保管されてきた、今では入手困難なオールドコレクションの一つです。

なぜ、無機質な石の中にこれほど美しい花びらが現れるのか。その秘密は「双晶(そうしょう)」という結晶の成長過程にあります。元となる「菫青石(きんせいせき)」が、三つの方向に規則正しく組み合わさって育つことで、断面に六弁の花びらのような幾何学模様を作り出すのです。

中心から放射状に広がるラインは、結晶が重なり合った「境目」です。定規で引いたかのような、あるいは熟練の職人が彫り込んだかのような精密なラインが、自然の力だけで描かれたという事実に、驚かざるを得ません。

十分な厚みがあります。石自体、十分な強度がありますので、扱いは比較的容易です。

横幅10cmを超える堂々としたスケール。母岩全体に散りばめられた「桜」の密度にご注目ください。一箇所に固まることなく、まるで春の夜に桜が舞い散るようにバランスよく配置されています。

100円硬貨との比較です。この標本の中では、「十字型」や「六角形」の結晶が確認できます。江戸時代の学者・佐藤信淵もその著書で紹介したというこの石は、古来より日本人の美意識を刺激し続けてきました。
桜は日本人にとって特別な花。この「桜石」もまた、移ろう季節を超えて手元に留められる「永遠の美」として、所有する喜びを満たしてくれます。日本の地質学的な背景と、文化的な情緒が同居する、深みのある名石です。

価格:
商品ID:ot4431
時代:Unknown
産地:京都府 日本
サイズ:本体最大0.7cm 母岩含め全体11.7cm×8.2cm×最厚部4.7cm 510g
商品説明:「永遠に散らない桜」京都・亀岡市産。岩石の中に可憐な花が咲いたような姿を持つ、銘石「桜石」
この商品は売却済みです。
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