こちらは、ミャンマー北部フカワン州で採集された、約1億年前の琥珀「バーマイト」です。ビルマ琥珀とも呼ばれ、旧国名ビルマに由来します。バーマイトの最大の特徴は、その古さにあります。白亜紀中期、すなわちアプチアン末からセノマニアン初期(約1億年前)に形成されたと考えられています。
琥珀は、樹木の樹液が長い時間をかけて化石化したもので、その過程で樹液に取り込まれた虫などを内部に閉じ込めることがあります。本標本もその好例で、虫の姿が見事に保存されています。ぜひ高倍率(30倍以上)のルーペでご覧ください。
これまでに取り扱ったバーマイト標本に含まれる虫の中でも、本個体は特に大きい部類に入ります。通常、琥珀内に見られる虫は小型のものが多く、これほど大きな個体は珍しいといえます。
バーマイトは、じつに多彩な内包物を含むことで知られています。琥珀というものは、透明度がなければ内部に封じ込められた動植物が見えません。しかし、バーマイトは約1億年という途方もない時間を経てきたにもかかわらず、不思議と透明感をいくらか残しているのです。そのおかげで、私たちは今もその内部を覗き込み、太古の命のかけらに出会うことができます。
今回ご紹介している標本は、特に多くの内包物を抱えているため、やや曇りがちです。けれども、背後から光を当ててみてください。内部の世界が、淡い影絵のように浮かび上がってきます。冒頭で触れた虫は、この写真では上のほうに見られます。
バーマイトが生まれたのは、熱帯雨林に覆われた地であったと考えられています。そこは河川や海に近い環境で、豊かな緑にあふれていました。しかし同時に、自然発火による火災が周期的に発生し、森をしばしば焼き尽くしました。木々はその傷を癒すために盛んに樹液を流し出し、それが時を経て琥珀へと姿を変えていったと考えられています。
そのため、バーマイトには他の産地の琥珀と比べて、黒く焦げたような不思議な内包物が多く含まれています。
当時の植物片と思われるものが、おびただしいほど確認できます。バーマイトといえども、ここまで多くのインクルージョンを含む個体はきわめて稀少です。
もう一度、冒頭の虫に目を向けてみましょう。樹液に捕らえられても、その粘性から逃れられるだけの力をもつ大きな虫は、通常、琥珀には残りません。そのため、内部に見られるのは小さく力の弱い羽虫がほとんどで、大型の虫や甲虫のような強い種類はごく少数です。
この虫がここに残されたのは、もしかするとすでに死んでいたところに樹液が流れ落ち、偶然巻き込まれた……そんな特異な事情があったのかもしれません。
補助光を背後からあてて撮影すると、驚くほど表情が変わります。内包物だけがシルエットとなって浮かび上がる様子は、琥珀が最も美しく映える瞬間といえるでしょう。ぜひ一度お試しください。
通常、内包物が多い標本は、このように黒っぽく見えます。
左右で約16ミリほどの大きさがあります。内部の虫は、少なくとも4ミリほどはありそうです。
100円硬貨との比較写真です。こちらは、多種多様な内包物を含む、約1億年前……恐竜時代に形成された琥珀、バーマイトです。
価格:
商品ID:ot4245
時代:中生代白亜紀(1億3500万 -- 6600万年前)
産地:Myanmar
サイズ:1.6cm×1.2cm×厚0.3cm
商品説明:大きな虫が見られます!多種多様な内包物が含まれた、約1億年前の恐竜時代の琥珀、バーマイト(Burmite)
この商品は売却済みです。
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