こちらは、古生代ペルム紀中期から後期にかけて生息していた絶滅魚類、パレオニスカムの化石です。銅を含む褐色の母岩と本体との境界は判別がやや難しいものの、鱗の模様などがはっきりと確認できます。
一般に、古生代の魚化石は非常に希少で、目にする機会は多くありません。化石として多く産出するのは中生代以降のものが大半です。古生代末には、地球史上最大の絶滅イベントとされる「ペルム紀末の大絶滅」が発生し、実に9割近い海中生物が絶滅したといわれています。そのため、古生代と中生代では生態系が大きく異なり、恐竜誕生以前と以降、あるいは三葉虫絶滅以前と以降という区別もできます。魚類に関しても同様で、ペルム紀以前の魚は原始的な浮き袋しか持たず、現生の魚類とは大きく異なっていました。
パレオニスカムは、そうした非常に古い魚類の特徴を色濃く残した、きわめて興味深い生物です。
クローズアップしてみるとお分かりいただけるように、遠目では一様に褐色に見えるこの化石も、近づいて見ると独特の鱗の模様が精緻に保存されています。パレオニスカムは全長数十センチの魚で、流線型の体形に二股に分かれた尾びれを持ち、鋭い歯で他の淡水魚を捕らえる活発な捕食者だったと考えられています。
最大の特徴は、口とつながった空気嚢(くうきのう)を備えていた点です。空気嚢とは、空気をためて浮力を得るための袋状の器官で、いわば魚にとっての天然の浮き輪のような役割を果たします。現生の多くの魚にも浮き袋がありますが、呼吸器とは独立しており、浮力調整専用の器官として進化しています。
一方、パレオニスカムの場合は呼吸器と空気嚢がつながっており、進化の過渡期にあったと考えられています。浮き輪としての機能は限定的で、浮力調整の精度は現生魚ほど高くはなかったと考えられています。
独特の爬虫類のような鱗が興味深いですね。
パレオニスカムは、「ガノイド鱗」と呼ばれる硬く光沢のある鱗で覆われていました。エナメル質に似た「ガノイン」という物質で覆われ、菱形をした硬い板が鎧のように重なり合う構造をしています。このため、外敵から身を守る優れた防御力があったと推測されます。
現生の魚の多くが持つ円鱗や櫛鱗と比べると、ガノイド鱗ははるかに硬く、雰囲気も全く異なります。現生では、ガーなどの古代魚にのみ、このガノイド鱗が残っています。
二叉に分かれた尾びれの輪郭も確認できます。
こちらの標本には、採集メモが残されています。要約すると、
・パレオニスカム・フライエスレーベニ、ブランヴィル命名
・ペルム紀
・Zechstein 第1層
・銅頁岩(Kupferschiefer)、約2億5000万年前
・採集者:Cyplik、1990年10月6日
・採集地:Bad Liebenstein 近郊の Glücksbrunn(テューリンゲン州)
となります。
ここまで詳細なラベルが保存されていることは、標本の背景を正確に知るうえで非常に役立ちます。
「ブランヴィル命名」とは、パレオニスカムという属名が1818年にフランスの博物学者アンリ・マリー・デュクロテ・ド・ブランヴィルによって命名されたことを意味していると思われます。
銅頁岩(Kupferschiefer)はペルム紀後期の堆積岩層の一つで、一般的にマットな黒い色調を示すことで知られています。
採集者のCyplikさんの丁寧な仕事のおかげで、35年経過した今でも、この標本の出自を明確に知ることができます。
母岩全体16センチ、本体14センチ弱です。
100円硬貨との比較写真です。古生代ペルム紀に生息した原始的な絶滅魚類、パレオニスカム・フレイエスレーベニ(Palaeoniscum freieslebeni)の全身化石です。
価格:
商品ID:ot4150
時代:古生代ペルム紀(2億8900万 -- 2億5100万年前)
産地:Glucksbrunn, Bad Liebenstein, Thuringen, Germany
サイズ:本体直線計測13.8cm 母岩含め全体16cm×9.9cm×厚0.8cm
商品説明:採集記録がすべて残されています!古生代ペルム紀の原始的な絶滅魚類、パレオニスカム・フレイエスレーベニ(Palaeoniscum freieslebeni)の全身化石
この商品は売却済みです。
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