このページは軽量版です。通信量を抑えて商品情報をご確認いただけます。写真や関連情報を詳しく見る場合は通常ページもご利用ください。

恐竜時代の前夜、水辺を支配した植竜類スミロスクス(Smilosuchus gregorii)…かつてルティオドンと呼ばれた、ワニに似た古代の捕食者の歯/中生代三畳紀(2億5100万 -- 1億9500万年前)

問い合わせる

商品説明:恐竜時代の前夜、水辺を支配した植竜類スミロスクス(Smilosuchus gregorii)…かつてルティオドンと呼ばれた、ワニに似た古代の捕食者の歯

ルティオドンのウンチク

恐竜時代の前夜、水辺を支配した絶対王者「ルティオドン」

ルティオドンの想像復元図

ルティオドンの想像復元図

「ワニによく似た、どこか愛嬌のある顔つきと鋭い歯――」。ルティオドンの姿を見ると、誰もが「ワニの仲間か」と思うかもしれません。しかし古生物の世界において、これほど知れば知るほど面白く、知的好奇心をくすぐる生物は他にいません。ルティオドンは、ワニの直接の祖先ではなく、ワニとは全く異なる系統からワニそっくりの姿へ進化した生物だからです。

今から約2億2000万年前の中生代三畳紀後期。まだ地球の陸地が一つの超大陸「パンゲア」だった時代、世界は恐竜たちの時代ではありませんでした。当時の恐竜はまだ体長1〜2メートル程度の小型種ばかりで、生態系の脇役に過ぎなかったのです。では、当時の水辺や陸上の頂点に君臨していたのは誰だったのか? それこそがルティオドンに代表される「植竜類(フィトサウルス類)」と呼ばれる主竜形の爬虫類たちでした。

ワニそっくりだがワニではない「収斂進化」の驚異

彼らは現在のワニと全く同じように、水辺に潜んで獲物を待ち伏せし、近づいてきた魚や他の爬虫類を一瞬で噛み留めて水中へ引きずり込む「アンブッシュ・ハンター(待ち伏せ型捕食者)」として生態系のトップに君臨していました。

ここで登場する古生物学の最も面白い概念が「収斂進化(しゅうれんしんか)」です。進化の歴史において、全く異なる系統の生物同士であっても、「水辺で獲物を待ち伏せる」という同じライフスタイルに適応した結果、驚くほどそっくりな体つきや歯の形を獲得することがあります。ルティオドンはまさに、この収斂進化の最高傑作と呼べる存在なのです。

ワニとの決定的な違いは「鼻の穴」の位置

しかし、骨格を注意深く観察すると「ワニとの決定的な違い」が見えてきます。それが鼻孔(鼻の穴)の位置です。

現生のワニは水面から鼻先だけを出して息ができるよう、吻(口先)の先端に鼻孔があります。ところがルティオドンなどの植竜類は、なんと目のすぐ手前、頭頂部の高くなった位置に鼻孔がありました。水中に身を潜めながら、頭の上部だけをわずかに水面に出して呼吸していたのです。古生物ファンが思わずニヤリとしてしまう決定的な違いです。

学名の由来と歯に秘められたハンターの構造

また、学名である「ルティオドン(Rutiodon)」はギリシャ語で「シワ(溝)のある歯」を意味します。獲物を逃さないよう表面に走る微細な質感や縦筋、そして獲物を突き刺すための尖ったコーン状のフォルムには、約2億年前の水辺の緊張感がそのまま刻まれています。

吻の部位によって歯の形状が変化する異型歯性を持っており、先端の鋭い歯で捕らえ、強力な顎で噛み砕く優れたハンターとしての機能を備えていました。

三畳紀の終焉と、その後に訪れたもの

三畳紀末の大絶滅によって、ルティオドンたち植竜類は地球上から姿を消すことになりました。しかし、彼らが築き上げた「水辺の王者」の空位には、その後に遅れて参入してきた本物のワニ類(ワニ形類)が収まることになります。

恐竜たちが大繁栄を遂げる前の三畳紀、ワニに先駆けて水辺を支配した知られざる覇者ルティオドン。その歴史を知ることで、化石を眺める時間がより一層ロマン溢れるものになります。

通常ページを見る