こちらは、約1億年前から約600万年間、現在の北アフリカに生息していた大型の肉食恐竜、スピノサウルスの歯の化石です。1912年にエジプトで最初の化石が発見されてから、すでに100年以上が経過していますが、本格的な研究が始まったのはごく最近のことです。かつては陸生恐竜と考えられていましたが、近年では、現生のワニのように、生涯の半分以上を水中で過ごしていたという説が有力になってきています。
スピノサウルスの歯化石は、円錐形で先端が尖っており、獲物を突き刺すのに特化した形状をしています。これは、主に素早く動く魚を巧みに捕らえるために進化した結果だと考えられています。
スピノサウルスは魚だけでなく、陸生の恐竜や死肉も食べていたとされており、現生の大型のクマ…たとえばグリズリーのような雑食性だったのではないか、という見方もあります。
さらに、スピノサウルスの吻部(口の先端)には、水中の動きを感知できるセンサーのような器官が存在していたのではないかという説もあります。これにより、水面近くを泳ぐ魚などを目視せずに察知し、捕食していた可能性が指摘されています。
スピノサウルスの歯は、基本的にどの角度から見ても同じような円錐形をしていますが、よく観察すると、稜線のような尖った部分が見られることがあります。ただし、セレーション(ギザギザの刃のような構造)はなく、ナイフのように獲物の肉を切り裂くことには適していない構造であることがわかります。
スピノサウルスは水中生活を好んでいたとされますが、長時間潜水し続けられるほどには適応していなかったという説もあります。そのため、浅瀬を好んで生活していたのではないかと考えられています。浅瀬に水分補給のためにやってきた陸生動物を襲うこともあったのでしょう。
一方で、骨密度に関する研究では、スピノサウルスや同系統のバリオニクスは比較的高い骨密度を持っていたことが示されており、潜水して獲物を追うのが得意だったのではないかという、逆の説もあります。このように、その知名度に反して、スピノサウルスは、いまだに多くの謎に包まれた生物なのです。
根元の断面を撮影しました。楕円形に近い、厚みのある歯の形状をしています。
カーブ計測で36ミリほどあります。
100円玉との比較です。白亜紀の北アフリカの雄、スピノサウルスの歯化石です。
価格:
商品ID:di1697
時代:中生代白亜紀(1億3500万 -- 6600万年前)
産地:Morocco
サイズ:ロングカーブ計測3.6cm
商品説明:白亜紀、北アフリカの覇者・スピノサウルス(Spinosaurus)の歯の化石
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