

こちらは、モロッコ産デボン紀中期の三葉虫、ペディノパリオプスです。深い体節、細かく連続する隆起、厚みのある外骨格、大きな複眼……ファコプス類の魅力が凝縮された、まさに理想的な個体です。

リードプスほどではないものの、非常に大きく膨らんだ頭鞍部が特徴的です。この形状には、防御、掘削、内臓保護など諸説ありますが、いずれにせよ進化の意匠がそのまま形に現れた造形美といえるでしょう。

ファコプス類は、危険を察知すると体を丸める「エンロール姿勢」で知られますが、この個体は逆に背を反らせた珍しいポーズ。まるでヨガの達人のような姿勢です。柔軟で発達した体節があってこそ成立する姿勢で、生命感さえ感じさせます。三葉虫は外骨格のみが化石として残りますが、生前は内部に柔らかな軟組織を持ち、天敵から身を守るために丸まる性質があったと考えられています。この個体は、リラックスしていたのか、化石化の過程で姿勢が変化したのか……想像を掻き立てる一点です。

体節部は驚くほど丁寧にクリーニングされています。プロの手仕事ならではの仕上がりです。

大きな頭鞍部の両側には、堂々たる複眼。微細なレンズが規則正しく並び、4億年前の視覚の仕組みがそのまま残されています。動くものを素早く捉える高感度な構造は、過酷なデボン紀の海を生き抜いた証です。

ほぼ左右対称で、ねじれや歪みは見られません。

ペディノパリオプスの象徴でもある複眼をクローズアップしました。微細なレンズがくっきりと確認でき、まるで今も光を捉えているかのようです。

中央軸が縦方向に力強く隆起しています。立体感があります。

反対側の複眼もご覧のとおり、多くのレンズ痕がよく保存されています。複眼は、哺乳類のように単一のレンズを持つ眼とは異なり、無数の小さな単位眼が集まって構成されています。それぞれの単位眼は限られた方向から入る光を捉え、これらの情報が全体として統合されることで、周囲の動きや位置関係を把握していたと考えられます。解像度は高くなかったものの、動く物体を素早く検知し、広い視野を確保するのに適した構造でした。

フリル状の側棘も完全な形で残存。モロッコの熟練クリーナーによる丹念な仕上げが光ります。

頭鞍部には無数の微細な凹凸があり、自然な質感がそのまま残されています。手に取ると岩肌のような重厚さを感じます。

生息時は、このキャタピラー状の節を自在に動かしていたのでしょう。4億年前の「動き」を想像できる希少な標本です。

裏面はフラットにカットされており、平置き展示が安定します。

少し離れて側面から見ると、体節のリズムがより際立ちます。光を受けた時の陰影が美しく、観賞標本としての完成度も高いです。

本体背に沿って約64ミリ。存在感がありながらも飾りやすいサイズ感です。

100円硬貨との比較でもそのボリュームがわかります。各部の保存状態は申し分なく、コレクター垂涎のクオリティといえるでしょう。

価格:
商品ID:tr1366
時代:古生代デボン紀(4億1000万 -- 3億6700万年前)
産地:Jebel Mrakib, Morocco
サイズ:本体カーブ計測6.4cm 母岩含め全体7.6cm×7.6cm×高3.2cm
商品説明:保存状態抜群!モロッコ産三葉虫、ペディノパリオプス(Pedinopariops)の極上標本
この商品は売却済みです。
このウィンドウを閉じる